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大都会交響楽

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大都会交響楽 ◆BOMB.pP2l.



教えてあげよう。人生の喜びを、悲しみを、そして終焉を。



人と人の縁。
相対したり同じ方を向いていたりまたは全然違う方を向いていたり、
触れ合ったりかすりもしなかったりあるいは全然気付くこともなかったり、
同じ場所にいるのに全然関係なかったり、違う時間にいたのに強く関係していたり、

人と人との間にある縁――運命は、俯瞰の視点で見れば時に”交差点”と例えられることがある。

それを見てみよう。
ある一時。十人の人間が通り過ぎ、あるいは足を止めたその交差点――彼らの運命を、俯瞰の視点より。





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【阿部高和 編 ~や・ら・な・い・か・?~】


[07:00]

都会の風景の中ならば何の変哲もないだろうと言える一つの片側二車線の交差点。
東西南北に車道が交わるその中心に一人の男とその”息子”が屹立していた。

「さて、いい男はどっちにいるのかねぇ……?」

そこから辺りをぐるりと見渡して青いツナギの男――阿部高和は片手をあごに当てて思案する。
もちろんもう片方の手に自身の大事な部分をまさぐらせながら。

「道に悩んだら”棒”を倒して進む先を決めるってのが定番だよな」

阿部はそう言うとすばやくアスファルトの上に寝転がる。
朝日を浴びていたアスファルトは案外温かく、なんだかこのまま寝っころがって誰かを待つのもいいように思えたが、
しかし思いついた案をふいにするのもあれなので、その思いつきは却下することにした。

「まずは”棒”を立ててと……」

先刻飲んだマカビンビンの影響がまだ残るそれは軽くゴシゴシとこすっただけで天上へと向け強くそそり立った。
後はこれを倒せばいいのだが……。

「よし、さっきのケツを思い出してもう一発ヌいておくか」

気持ち悪いもの、例えば女のグニャグニャした巨乳なんかを思い出して萎えさせるというのも手ではあったが、
どうせなら気持ちイイ方にこしたことはなく、阿部はさらに棒をゴシゴシとこすりはじめる――



      [ now wanking...... ]



「ふぅ……」

数分後、交差点の真ん中に白濁液を撒き散らした阿部は路上を東へと向かい進んでいた。
目の前から浴びせられる陽の光の心地よさと、 【 賢者の時間 】 がもたらす倦怠感にあくびを噛みながら
ゆっくりと彼はその交差点より離れてゆく。


 【TIP】 「賢者の時間」
 いかな性欲魔人のいい男と言えど、この世の理より外れることはできない。
 砲撃の後の避けられぬ空隙! この時間帯だけは彼であろうとテンションが下がることは避けられないのだ。
 ゆえに彼はこの交差点に残された 【 血痕 】 を見逃してしまったのである。
 もしそれに気付いていればこの後の物語は大きくその様を変えていただろう。

 【TIP】 「血痕」
 阿部さんよりも前に交差点を通り過ぎた 【 忘却のウッカリデス 】 が残していったもの。
 その血は、彼が背負っている瀕死の重傷を負い流血する遊城十代のものである。

 【ZAP】 「忘却のウッカリデス」
 ザッピングします。

 [07:00] 阿部高和  ⇒  [06:20] 忘却のウッカリデス


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【忘却のウッカリデス編 ~死地を迂回~】


[06:20]

ふらふらと、頼りない足取りで交差点を南から北へと通り過ぎる青年の姿があった。
端正な顔に苦悶の表情としたたる汗を浮かべている彼の名前は――忘却のウッカリデス。
そして彼のその背中には彼と同年代か幾分か幼く見える少年――遊城十代が背負われていた。

「……ハァハァ。お、重い……。が、がんばれ……僕」

自分で自分を励ましながらウッカリデスは一歩一歩と震える足で歩を進めてゆく。
そんな彼に対して背中の十代は無言。そもそも意識すらなかった。重傷を負い気絶しているのである。

「怪我したら、病院ってのは定番だけど……人間って重いなぁ……」

彼が休むことなく北へと向かっているのは、いまや瀕死の十代をその先にある病院へと連れてゆくためだ。
怪我をしたら病院。至極単純な理屈に従い彼はそれを実行したのだが、しかし言葉の通りに人間は重かった。
だいたい標準的な体格だろうと言える十代の体重は50kg程度といったところか。
人間一人というのも単位をkgとすると途端に印象は変わり、ものすごい重量を持ったものだと言うことが解る。
しかも、それを背負うウッカリデスの身体は貧弱極まりない。
線の細い美青年と言えば聞こえがいいが、外見的な価値観をのぞけばそこにいるのはただの 【 もやし 】 である。


 【TIP】 「もやし」
 食物のもやしが日光に当てられずに育てられることから、ろくに外に出ず貧弱な体格の人間のことをもやしに例えることがある。
 ウッカリデスの出身ロワであるアニ2ではルルーシュ@コードギアスの呼び名はもやしと定着していた。
 そして、彼を書き手キャラの元ネタとしているウッカリデスも勿論もやしなのである。
 余談ではあるがアニ2ではスレの空気が悪くなりそうになると、「もやしの芽について語ろうぜ!」という言葉で流れを切るのがお約束。


「病院までは……後、1キロメートルぐらい……か? うわ、数字で考えると駄目そう……」

そもそもとして病院まで行ってどうするのか。という問題もあった。
ホーリーエルフの祝福という所謂神秘的、漫画的な力で辛うじて致命傷は回避したものの十代の受けた傷は深く重い。
バトルロワイアルの舞台であれば医者などが常駐してるはずもなく医療行為は自身で行わなければいけないのだが――

「手当てをしました……の一文じゃあ駄目かなぁ。説得力に欠けるかなぁ……」

――ウッカリデスにその手の専門知識はない。
切り傷程度ならガーゼを当てて包帯なりテープを巻けばいいとぐらいまで解るが、しかし十代の傷はそんな程度ではない。

「輸血も必要なんだろうけど、十代くんって何型なんだろう……ていうか、血液型の設定とかないよなぁ……」

リアルに考え始めるとどうにも立ち行かなくなる。なので、そこらへんのアレコレをウッカリデスは頭から振り払った。
何もこの舞台上には自分しかいない訳でもないのだ。
病院に行けば誰かがいて、そこで医療行為的なイベントが発生する……というのを期待するだけでもいい。
ご都合だが、それは案外悪い賭けじゃなかった。

「そうそう。書き手なんだから、展開とフラグを最大限に活用しなくっちゃ」

負傷者を病院に担ぎ込む。そこから続いてゆく展開は主に二種に分かれる。”団結”と”惨劇”である。
一つは、治療行為がうまくいき負傷者は復帰。苦難を越えた仲間達の間に強い団結力が生まれるというもの。
一つは、血の匂いにマーダーが禿鷹の様に寄ってきて、ピンチが大ピンチ。もしくはデッドエンドとなるもの。

「 【 アニ2だと病院では…… 】 、……やっぱ病院行くのやめようかなぁ」


 【TIP】 「アニ2だと病院では……」
 担ぎこまれたエリオが殺されたり、それを発端に誤解が生まれそうになったり、ラッドがヒャッハァ!したり、
 スパイクが麻薬をDさんに譲ってたり、霊安室にロリショタの死体が集められていたり、自殺未遂が起こっていたり、
 しまいにはエヌマ・エリシュで木っ端微塵に粉砕されるなど、けっこうロクなことがない。


とは言え、他に思いつく選択肢もないのでウッカリデスはよろよろではあるが足を止めずに北へと進む。
そして、考察しているとその間フィジカルな部分の描写がされないから楽だなということに気付き、思考をそちらへ切り替えた。

「みゆきさんはまぁ仕方ないとして……ルイズとかセフィロスとかキョンとか、そういう名前を聞くのは不思議な気持ちだな」

ウッカリデスは少し前に聞いた 【 放送 】 で呼ばれた死者の名前を思い出す。
書いてる時はそれが当然で、自身が参加させられることとなった書き手ロワの中では書き手の名前しか聞いてない。
なのでキャラ名を実際に耳で聞くのはこれが初めてで、それはなんとも不思議な感覚があった。

「キョンが死んだってことはハルヒに大きな影響があるんだろうなぁ……マーダー化とかしてないといいけど」

そこから予想できる参加者のスタンスの変化や、禁止エリアが中央に集中している意味。
そんなことを徒然と考えながら、ウッカリデスはゆっくりと北へと進んでゆく。


 【TIP】 「放送」
 パロロワには欠かせない定番のイベント。主に死者の名前を参加者に聞かせることで揺さぶりをかけるのが狙い。
 他には数少ない主催側の事情を書けるチャンスなので、脱出や対主催関係のフラグが発生することもある。
 なので禁止エリアや首輪などと違い、放送という要素がロワから外される可能性は低い。
 ちなみにこの話では、ウッカリデス達以外にも 【 もう一組 】 放送跨ぎのグループが存在する。

 【TIP】 「もう一組」
 大きなリアクションが取れるなら放送後は単独で予約されることも多いが、そうでない場合も存在する。
 今回はウッカリデス&十代の他に、【 6/氏 】 &結城奈緒のグループも放送跨ぎで予約されているのだ。

 【ZAP】 「6/氏」
 ザッピングします。

 [06:50] 忘却のウッカリデス ⇒ [06:00] 6/氏


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【6/氏 編 ~The wrong man 六~】


[06:00]

「10人か……。参加者数を考えたらけっこうなペースだな」

椅子に腰掛けたままの姿勢で誰ともなしにそう一人ごちると、6/氏はその視線を同じ部屋にいる少女の方へと移した。
放送がかかる前より彼を観察し、直前になって接触。何らかの取引きを持ちかけようとしてきた赤毛の少女。
6/氏の目からは幾分かそこに動揺があるように見られる。

「……もしかして、知ってる名前が読み上げられたか?」

そう聞いてみる。しかし、彼女はその問いには首を横に振った。

「別に。ただ、あんまりにも素っ頓狂だったんでね、呆気に取られただけ」

なるほどと6/氏は心の中で納得する。目の前の少女は”割と真面目なロワ”よりここに連れてこられているんだろうと。
今現在、彼が出会ってきた参加者達は原作からっぽいこなたを除くとどちらかというとカオス寄りぽい面子ばっかだったし、
名簿を見てもカオスで名を馳せている人間が何人か見て取れ、しかも自分(6/氏)まで複数いたりもしたりする。
なので、このロワが何ロワかというとカオス寄りかもという想定はあったが、しかしそれは必ずしも正解じゃないらしい。

「(どこのロワから来ましたか? なんて聞くのはさすがに無茶か。けど、この接触。重大なヒントが得られるかも)」

カオスなロワやカオスな参加者に理屈を求めるのは非常に難しい。
逆に、真面目なロワや真面目な参加者はきっちりとした道理に沿って動いている。
だとするならば、目の前の赤毛の少女から得られる情報は限りなく間違いの少ない情報である……はず。

「殺したい奴がいる……って、話だったな。とりあえず話を聞かせてくれないか?」

殺したい奴がいるなんていうのは至極物騒な話だが、つまりはそれだけの因縁がある相手なのだろうとも想像できる。
まだバトルロワイアルが始まってより6時間しか経ってない――となれば、それは開始前よりのものだと推測するのも容易い。
実際に応じるかはともかくとして、その因縁の相関図は非常に有益な情報であると6/氏は考え、少女に話を促した。

「私が殺したいのは……殺したいのは、 【 不死身の柊かがみ 】 」


 【TIP】 「不死身の柊かがみ」
 数多くのロワに出場し、その中で様々な役割を演じている柊かがみであるが、これはアニ2における彼女の呼び名である。
 不死者となる酒を飲んだ彼女はその後紆余曲折を経て衝撃のアルベルトとコンビを組んでこの名前を名乗ることになる。
 斬っても叩いても死なない為にそれこそ七転八倒な生き様(?)であった。後に悪名名高きらっどみんに進化(?)する。


「え……、 【 あいつ 】 を……か?」

言って、6/氏はそれが失言だと気付き後悔した。
あまりにも因縁めいていて聞きなれていた名前だっただけに、つい素のリアクションをしてしまったのだ。
勿論。殺してほしいと言われている人物のことを知っているとなれば少女よりの追求が始まるだろう。
大物ぶった態度で彼女より情報を引き出そうと考えていたが、初手よりの大失敗である。


 【TIP】 「あいつ」
 カオスロワの柊かがみこと、ガチレズ悪臭ツインテールのこと。6/氏とは切っても切れない腐れ縁でもある。
 最初は当時流行りのツンデレのジンクスにより散々な目に合っていたが、それがどう作用したのか外道キャラに成り果てた。
 覚醒(?)以後は汚れキャラとしてカオスロワ内を縦横無尽に跳梁跋扈し悪逆の限りを尽くしたり因果応報だったりする。
 パロロワクロススレにも6/氏と一緒に出張し、そこでネタが定着化したことが此度のロワで6/氏が3人もいる原因となった。


「も、もしかして、お前……あいつの仲間かっ!?」

瞬間。赤い光が煌き、6/氏の目の前の机が真っ二つに割れた。方法は解らないが、誰がやったのかは明白だ。
赤毛の少女の反応を見るに、どうやら彼女も柊かがみより相当に手酷くやられたらしい。
となれば、ここで柊かがみ被害者の会結成だろうか?

「いや、違う。腐れ縁だけど仲間とかそういうのじゃないっていうか……まぁ、とりあえずは違う」

何時の間にかに少女が手に凶器を出現させていたことに気付き、6/氏はぶんぶんと首を振る。
名前を聞いただけで発狂寸前まで達するとはどんなトラウマがあるのだろうか? もしかして■■■だったりするのだろうか。
ともかくとして、目的は情報収集。互いに冷静でなければいけないと、彼は情報交換の基本を実行した。

「ちょ、ちょっと落ち着こうぜ。そもそも君は誰だ? 俺は、6/って言うんだけど……」
「…………結城、奈緒」

赤毛の少女の名前は 【 結城奈緒 】 。
どこかで聞いたことあるようなないような、とりあえず自分の好みからは外れているなというのがこの時点での6/氏の感想だった。


 【ZAP】 「結城奈緒」
 ザッピングします。

 [06:00] 6/氏 ⇒ [06:05] 結城奈緒


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【結城奈緒 編 ~迷える人外舞台~】


[06:05]

「いや、違う。腐れ縁だけど仲間とかそういうのじゃないっていうか……まぁ、とりあえずは違う」

慌てふためく目の前の男。そして自身がエレメントを使って真っ二つにしたテーブル。
酷く落ち着きが無い。動揺を越え狼狽。そこまでに不死身の柊かがみが残したトラウマは強いと奈緒は自覚していた。

「ちょ、ちょっと落ち着こうぜ。そもそも君は誰だ? 俺は、6/って言うんだけど……」

やっと出会えたまともに話せる人間だと言うのに、逃してしまってはまた一人で恐怖に怯えるしかなくなってしまう。
それは考えたくも無いことなので、奈緒は男の言葉に従い気持ちを落ち着けることにした。
エレメントを消し、自分の名前をぼそっと名乗る。

「あんた。それ本名……じゃないよね? なんか同じ名前が3つあったと思うんだけど」

”6/氏”ってなんだ? と奈緒は思う。名簿の頭に3つ並んだ同じ名前(?)。
形式番号っぽいし、もしかしたら 【 深優=グリーア 】 みたいなロボットかと思ったら、案外普通の男だった。


 【TIP】 「深優=グリーア」
 結城奈緒と同じく舞-HiMEに登場するキャラクターの一人。無口無表情系のサイボーグっ子である。
 残念ながらアニ2には参加していない。(出展がゲーム版ではあるがギャルゲロワ2には参加)
 その設定と水色の髪の毛は綾波・長門系を連想させ、岩崎みなみが好きな6/氏の好みにあうかも……?


「本名じゃあないけど、それはここにいる連中のほとんどはそうだと思うぜ? アナゴとかピッピとか」

ふぅんと、奈緒はとりあえず納得した。
先のロワでパートナーである 【 金ピカ 】 と考察した通り、集められているのはそれこそ常識の通じない奇人変人ばっかなのだろう。
だとすれば、そこらへんを深く考えることに意味はなさそうだったし、興味もなかった。


 【TIP】 「金ピカ」
 英雄王ギルガメッシュ@Fateのこと。トレードマークの一つである鎧が金色だから等の理由でこう呼ばれる。
 アニ2では開始当初より奈緒とコンビを組んで、意外なことに考察系コンビとして動いていた。
 途中、衝撃のアルベルト&不死身の柊かがみコンビと遭遇し、アルベルトと勝負したもののよもや貴様そこま――が。
 とはいえ死には至らず後に奈緒と再会するのだが、ここの奈緒は再会前よりの参加なので死んだと勘違いしたままてある。


「……まぁ、いいけどさ。あんたも柊かがみのこと知ってるなら私に協力してくれるわよね?」

瑣末なことは棚上げし、奈緒は本題へと話を戻す。
自身に強いトラウマを刻み込み、幾多のロワで暗躍し、そして今回のロワの元凶である魔女・柊かがみのこと。
生き延び、そして無限の死闘の連鎖より逃れるにはその存在を打破しなくてはならないということ。
震える心を押さえつけ、彼女はそれを必死に6/氏へと語った。

「んー……、柊かがみが全ての元凶か」

しかし目の前の男の態度は煮え切らない。
彼もおそらくは酷い目に合っているはずだというのに、どこかそれを深刻に捉えていないふしがあった。
もしかしてこいつは柊かがみに連なるものでは……と、奈緒が疑心に捉われようとした時――

「かがみんがどうしたって?」

背後より声。奈緒が潜ってきた扉の位置に 【 双子の様にそっくりなセーラー服の少女 】 が二人現れていた。


 【TIP】 「双子の様にそっくりなセーラー服の少女」
 泉こなたと、彼女の姿をとっている 【 地球破壊爆弾No.V-7 】 のこと。
 瓜二つではあるが、こなたの方はセーラー服が血に染まっており団長腕章を身につけているので一応区別はできる。
 もっとも奈緒からすれば知るよしもないことなので、彼女よりからは区別がつかないのだが。

 【ZAP】 「地球破壊爆弾No.V-7」
 ザッピングします。

 [06:05] 結城奈緒 ⇒ [06:25] 地球破壊爆弾No.V-7


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【地球破壊爆弾No.V-7 編 ~シュレディンガーの書き手~】


[06:25]

「かがみんがどうしたって?」

新しい登場人物が増えていることにかまう様子もなく、爆弾は気安く6/氏と奈緒に問いかける。
倒れていた椅子を三つ起こして一つにちょこんと座り、もう一つをこなた。更にもう一つを立ちっぱなしだった奈緒に勧めた。

「いや、それがな……」

事情を掻い摘んで話してくれた6/氏の言葉に爆弾はふむふむと頷いた。
こなかが推奨派としては喜ばしい展開ではなかったが、
このロワがかがみ主催。あるいは彼女を中心にしたロワであることは可能性としては十分に考えられたからだ。

「あんた達も柊かがみのことを知ってるなら、こんな馬鹿げたこと終わらせたいって思うだろう?」

ただ一人息巻く奈緒を前に、爆弾と残りの二人はいまいちテンションが低かった。
実際に被害にあいまくってる6/氏はともかくとして、爆弾からすれば柊かがみは愛すべきキャラの一人であって迫害の対象ではない。
それに同行している泉こなたのこと、かがみと同じ姿を持つロリスキーのことを考えるとこの展開の拡大は望ましくなかった。

「(……とは言え、かがみがかがみんである故にこの誤解(?)フラグは拡大していくんだろうねぇ)」

そしてその誤解フラグの被害を被るのは自分達であろうとも容易に想像できる。
所謂、善良な対主催であり、そして柊かがみとの縁の濃さで言えばロワ内でも屈指なはずのこのグループはいい標的だ。
更には同行している6/氏が 【 誤解王クオリティ 】 を持つのだからそれはもう必然とも言える。


 【TIP】 「誤解王クオリティ」
 誤解に誤解を重ね、ついには誤解王にまで達した6/氏の発揮する誤解のクオリティのこと。
 彼がいかに誤解に巻き込まれるかはカオスロワを見るまでもなく、このロワの3人の6/氏を見るだけでも納得できるだろう。
 大抵の場合、誤解とは狭い因縁の間で起こるものだが彼の場合参加者全員から敵と見なされるなど規模も大きい。
 それが今後このロワの中でどれだけ発揮されていくのか、楽しみ(?)である。


「まぁ、こんなことを繰り返したくないってところには同意だし、それを手伝うことにはやぶさかではないよ」

曖昧な妥協案を提示し、爆弾は奈緒を懐柔することを試みる。
彼女の暴走を許せば回りまわって自分達にも危機が訪れるとなれば手を打たないということはない。

「私の名前は地球破壊爆弾。隣のこの子は泉こなた。彼女は件のかがみと親友なんだけれども、それは許容してくれるかな?」

誤解の種は予め摘んでおこうと爆弾はこなたの素性を明らかにした。
泉こなたと柊かがみ。そしてその周辺の人間関係と、柊かがみが持つ本来のパーソナリティなどなど。
そして自分が書き手という別次元の存在であることは伏せて、あくまで別世界のそっくりさんであると説明した。

「ふぅん……じゃあ、あの魔女にも大元の存在があるってわけ? じゃあそこを押さえれば私達にも勝ち目はあるんじゃない?」

* おおっと、その発想はなかった * と、爆弾は奈緒の発言に唸る。
素のらきすたキャラは無害ですよーとアピールしたつもりが、そこを逆手に取られウィークポイントと解釈されるとは予想外だった。
見れば6/氏の顔にも困惑の表情。そして隣に座るこなたの顔にも……と、彼女が爆弾の袖を引っ張った。

「どしたの? この話厳しい? それともお花を摘みにいきたくなった?」
「そうでなくて匂いませんか……その、アレの匂い」

そういえばこの子も一端の吸血姫だったねと爆弾は再認。
確かにそれ――血の匂いは吸血鬼である爆弾の鋭敏な鼻にも感じ取れていた。
「くさいねー」「くさいよねー」とはらき☆すた(アニメ)の中でよく聞いた台詞だが、こなたがそれを発したことはあっただろうか?
まぁ、そんなことはどうでもいい。
問題はこなたが危機感を持って爆弾にそれを知らせたということ。つまり、それが近づいてきているということだった。

「誰かこっちに来てるっぽいよ」

言って、爆弾は席を立ち窓の方へと歩いてゆく。
吸血鬼としては大嫌いな陽の光。その中に現れるのは、新しい仲間か、それとも 【 凶悪な殺人鬼 】 なのか――?


 【TIP】 「凶悪な殺人鬼」
 このロワの中で殺人鬼と言えば 【 ラッド・ルッソ 】 だろう。
 とは言えこの彼。そう呼ばれる割には意外とそれらしいことをしていなかったりする。原作でもロワにおいても。
 ツンデレマーダーと言うべきか、殺す相手にルールを持っている為に意外と☆を稼げないのがこの手のキャラクターの特徴。
 「べ、べつに対主催を応援するわけじゃないんだからねっ! 私は主催者をぶっ殺したいだけなんだからっ!」

 【ZAP】 「ラッド・ルッソ」
 ザッピングします。

 [06:25] 地球破壊爆弾No.V-7 ⇒ [07:20] ラッド・ルッソ


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【ラッド・ルッソ 編 ~ルナティック・ダンディ~】


[07:20]

西の方角より運命の交差点へと入ってくる一人の男の姿があった。
触れれば爆発するような、そんな不穏な気配と怒気に満ちた瞳。
男の名前はラッド・ルッソ。今は自身に屈辱を与えた青いツナギを着た変態を探している。

「……殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

抑えきれない殺意が口から言葉となって止めどなく溢れ出してくる。
忘れたくても忘れられない。初めての屈辱。
そこから生まれるのはポリシーでもルールからでもない、純粋な怒りとそれに対する破壊の衝動。

「……糞っ! 糞糞糞……あの糞野郎っ……! 絶対完全に不死身でも神でも悪魔でも殺してやるっ!」

先刻のことを思い出す度に下半身に嫌な緊張が走った。
恐怖と大きな羞恥。そして僅かな……期待? 混ざり合い得も言えないそれにラッドの心は掻き乱される。

「どこに行きやがった……あの変態……異常性癖者は……」

武者震いとは別の震えに、ラッドは寒くもないのに着ているコートの襟を寄せる。
その黒いフード付きのコートは通り道にあった衣料店から勝手に拝借してきたものだ。
ついでに着ていた背広も新しいものに……と言うよりも、そちらが本来に目的であった。
尻に穴の空いた服などいつまでも着ていられるはずがない。
コートを重ね着したことにラッド自身は特に意味はないと思っている。が、そこには無意識の防御があったのかもしれない。
もし、あの男と相対して再びあの様なことがあった時、それが明暗を分ける紙一重になるのではないかという。

「道に迷ったなら”棒倒し”ってのが、定番だよなぁ……」

何かを思いついたのか、ラッドはギラリと凶暴な笑みを浮かべると一つの信号機の方へと歩き出した。
そして――

「ぶっ倒れろぉぉぉおおおぉぉぉ――っ!!!」

――轟音。
ラッドの握り締められた拳が鉄の支柱にめり込み……そして振り抜かれた。

「痛ってぇ……」

勿論そんなことをすれば生身の拳がただで済むはずがない。実際にラッドの拳は砕け傷口から血は噴出していた。
しかしそれは一時の間のことだ。間もなく不死者の特性がその傷を回復――いや、身体を復元してゆく。
まるで映像を逆回しに見ているように血が地面より遡り、バラバラになった骨が集まり、千切れた肉がくっつく。

「……こっちか」

握って開いてを繰り返し拳が元通りになったことを確認するとラッドは倒れた信号機を跨ぎ、 【 東方 】 へとその足を向けた。


 【TIP】 「東方」
 東方と言うと何を連想されるだろうか?
 「東方は赤く燃えているか?」それとも、「俺の髪型がサザエさんみてーだとォ?」だろうか?
 最近だとやはり東方と言えば「東方シリーズ」であろうか。
 爆発的にその認知度を高めており、パロロワ界隈でもいくつかのロワで東方キャラの姿やその活躍が確認できる。
 このらき☆ロワには縁の人物は参加していないが、現在 【 東方キャラの格好をした人 】 が一人存在する。

 【TIP】 「東方キャラの格好をした人」
 チャイナドレス@書き手2を着た 【 6/氏 】 のこと。
 出展元ではギャルゲロワ書き手の「お姉さま」がこの格好で登場したが、勿論ギャルゲロワに東方キャラは参加していない。
 じゃあなんで? と言うと、理由はないでもないが、それが通ったのはフリーダムな空気のおかげだとは言えるだろう。

 【ZAP】 「6/氏」
 ザッピングします。

 [07:20] ラッド・ルッソ ⇒ [07:20] 6/氏


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【6/氏 編 ~The wrong man 六~】


[07:20]

「一人って寂しいなぁ……」

そんなことをポツリと漏らす男が病院の正面玄関の前に一人で立っていた――6/氏である。
なぜ彼がこんなところでぽつんとしているかというとそれは、彼が 【 中国 】 だからというのが爆弾の言であった。


 【TIP】 「中国」
 東方シリーズに登場する紅美鈴の愛称。チャイナドレスを着ているから中国。とても解りやすい。
 彼女の仕事は紅魔館の門番。なので彼女の格好をした6/氏は門番の役を任されているという訳である。


そもそもどういう成り行きかと言うとそれは1時間ほど前に遡る。
奈緒の提案を受けさてどうしようかと頭を捻っていた時、民家の外を通りかかった二人の参加者を爆弾が発見したのだ。
それは瀕死の重傷を負った遊城十代と彼を背負っていた忘却のウッカリデス。
怪我人がいるならそれが第一と、へばっていたウッカリデスに代わり爆弾が十代を背負いここまでやってきたという訳である。
なにしろ人外の吸血鬼。身体は小さくとも力は申し分なく、至極あっさりと病院までは辿り着いた。
そして十代にはとりあえずの応急手当――爆弾曰く「ちょっとした情報操作の応用」――を行い、今は各自それぞれに仕事をしている。

6/氏は見ての通りに不審者が現れないかを見張るために門番を。
忘却のウッカリデスと結城奈緒は、休憩を兼ねて安静中の十代を看ており、
地球破壊爆弾No.V-7と泉こなたは、吸血鬼にとっての食料である血液を確保しに病院の奥へと消えた。

「かがみが主催……か」

柊かがみがバトルロワイアルの主催。普通の人間であればそんなことはありえないと一笑にふしただろう。
だがしかし、カオスロワ出身の彼からすればそれはなんら可笑しいことではなかった。
何せ実際に柊かがみが主催者であったことがあるのだから。しかもその時は自分も一緒に主催側にいたのである。
勿論それを最後まで滞りなく務められるわけもなく、あえなく破綻はしてしまったのだが主催であったことは一つの事実だ。

「だとしたらけっこう納得できる面子でもあるんだよなぁ……今回の参加者」

名簿を一見して抱いた感想はカオスwwwである。
らきすたを中心に有名どころのキャラクターが脈絡なく入り乱れているところはいかにも、最近のそれっぽい。
それに6/氏と言う名前が3つも連なっているのを見ると、それは他のロワじゃあありえないんじゃないかというのが率直な感想だ。

「カオス系の小規模外伝とか? でも、他のロワからの参加者もいるからリピーターロワっぽいし……」

彼の前に現れた結城奈緒はアニロワ2の途中からの参加だということが合流したウッカリデスの証言により確定していた。
そうなると、現在判明しているのは……らきすた原作、カオス、書き手2、アニ2からとなる。

「らきすたの面々は原作からってことになると、奈緒ちゃんじゃないけどここが鍵か?」

気絶してしまっている十代に関しては不明だが、少なくとも今集まった面子の全員が柊かがみやそのそっくりさんと縁がある。
それに加えて奈緒が声を聞いたという参加者達にしてもそうらしい……とここまで符号が揃えば、確定の様な気もする。
だが、それが間違っている様な気もする。これは牽強付会で何かを見落としているのではないかという不安が拭えない。

「まぁ、まだ第1放送が終わったばかりだしな。考察脳もそんなに回らないか……」

暇ができるとつい考察しちゃうというのはロワ慣れした身の癖かと、6/氏は苦笑し身体をほぐす為にのびをした。
そもそも役割は門番なのだから考え事に夢中になるのはいけないことだろう。
これがコナンや金田一の様なミステリだったら答えに気付いた瞬間、黒タイツの男に殺されるのがオチである。

「にしても、陽が照ってきたっていうのになんかまだ 【 寒い 】 なぁ」

スカートのスリットから入り込んでくる風がやけに冷たい。
その中は未だナッシングパンチーな状態であり、よく考えればさっきの民家で下着も探しておくんだったと彼は今更ながらに後悔した。


 【TIP】 「寒い」
 人はなんらかの嫌な気配を察すると寒気を感じたりするものだが、この場面では実際に気温は低下していた。
 なぜならば、アイスソードを持った 【 桂言葉 】 が誠君の匂いを追って現在この病院内を徘徊中なのだから……。

 【ZAP】 「桂言葉」
 ザッピングします。

 [07:20] 6/氏 ⇒ [07:00] 桂言葉


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【桂言葉 編 ~ヤンデる想い~】


[07:00]

カキン……カキン……カキン……カキン……カキン……カキン…………

薄暗くひやりと冷たい空気が流れる病院内の廊下に金属が床を叩く音が小さく鳴り続けていた。

カキン……カキン……カキン……カキン……カキン……カキン…………

鉄の節と四本の刃でできた足が規則正しく硬い床を叩き、その足に持ち上げられた一人の少女を運んでいる。

カキン……カキン……カキン……カキン……カキン……カキン…………

濡れた様な黒髪は風も無いのにゆらゆらとたなびき、両の眼は見た物の魂を吸い取る穴の様な暗さ。

カキン……カキン……カキン……カキン……カキン……カキン…………

両手に長剣。両足より一対ずつの刃。合わせて六つの閃きを露に桂言葉は暗い廊下を行く。

カキン……カキン……カキン……カキン……カキン……カキン…………

愛しい姿を捜し求めるその様は、まるで 【 絡新婦 】 の様であった。


 【TIP】 「絡新婦」
 ”じょろうぐも”と読み、”女郎蜘蛛”とも表記されることがある。
 ヤンデレな蜘蛛の妖怪で、美しい女性の姿を取って男を誘惑したり、糸を吐いて男を捕らえたりしてその身を喰らう。
 現在、桂言葉の姿はそれに近いが、彼女とは別にこの妖怪にとても 【 縁のある少女 】 が存在する。

 【TIP】 「縁のある少女」
 女郎蜘蛛をモチーフとしたチャイルド――ジュリアを召喚する 【 結城奈緒 】 のこと。
 しかし制限により彼女は現在チャイルドを召喚することはできない。
 アニ2では螺旋力覚醒と同時に召喚可能となったが、このロワでそんなことがありえるのかは未だ不明である。

 【ZAP】 「結城奈緒」
 ザッピングします。

 [07:00] 桂言葉 ⇒ [07:05] 結城奈緒


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【結城奈緒 編 ~迷える人外舞台~】


[07:05]

病院の中にいくつもある大部屋の病室の一室。
六つ並んだベッドの一つには未だ意識を取り戻さない十代が寝かされ、その傍らの椅子の上にウッカリデスがおり、
そして向かいのベッドには奈緒が腰を下ろして所在無さげに足をぶらぶらとさせていた。

現在ここには六人のグループができている。
参加者が全員で六十名なのだからその一割。そう考えると非常に心強いと言えるだろう。だが――

「(こいつら……信用できない……)」

――彼女はむしろ罠の中に飛び込んでしまったんじゃないかという不安を抱えていた。
6/氏。地球破壊爆弾No.V-7。忘却のウッカリデス。この不自然な名前の三人は互いに面識がある風だった。
元の柊かがみの親友だという泉こなたは爆弾に懐いている風だったし、
ベッド寝てる十代という少年も見捨てずに連れてきたというのならばウッカリデスにとっては大事な仲間なのだろう。

「(けど、どうすれば……?)」

そんな中で彼女が感じるのは互いの間にある見えない壁。
こっちはプライドをかなぐり捨ててまで必死に事情を話し助けを請うたというのに、それが通じていない気がする。
まるでそれは異世界の言葉で会話をしているような、そんな感触。

「(こいつらが柊かがみの仲間だったら、私はまた利用される……)」

それは御免だと奈緒は頭を振る。
脅されて、命令され、そしてまた別の殺し合いに放り込まれる。そんなことは嫌だったし、なにより……怖い。
縋る相手もおらず、見下す相手もおらず、隣に立っていたいと思う者がいてもそれが儚く消え去ってしまうなんて、
そんな寂しくて自分のちっぽけさばかりを突きつけられる世界は怖かった。

「あの、奈緒ちゃん……大丈夫?」

気付けばウッカリデスという青年がこちらを心配そうに見つめていた。

「……勝手にちゃんづけで呼ぶな。馴れ馴れしい」
「あぁ、御免ね。つい」

なんだか、安心感というか人の好さみたいなものを奈緒は彼から感じとっていた。
こちらが弱気なところを見せれば手となり足となり世話を焼いてくれる、奈緒が普段手玉に取っている様なそんな男だと。
普段ならそれは軽蔑の対象でしかなかったが、しかし今は少しだけその存在がありがたい。

「病院。嫌いなんだよ……いい 【 思い出 】 ないし」
「あぁ、そうだよね。僕も病院にはあんまりいい思い出ってのはないや」


 【TIP】 「思い出」
 結城奈緒にとって病院の思い出と言えば、意識不明のままずっとベッドに横たわる母の姿だ。
 いつ見ても、何回訪れてもそれは変わらない。取り戻せないものがあること。世界は優しくないことの象徴だった。


「まぁ、病院が好きなやつってのも見たことないけどさ」
「それはそうだよね。ところで、その手首に巻いている 【 黒いリボン 】 って――」

ドクン――と奈緒の心臓が跳ねた。


 【TIP】 「黒いリボン」
 アニ2内において、不死身の柊かがみにより奈緒の左手に巻かれた彼女の髪留めリボン。
 これを勝手に解くと、与えた傷が倍になって帰ってくる呪いをかけたと脅されているため、奈緒はこれが解けない。
 そして、”この話”を書いたのが何を隠そう、今目の前にいる 【 忘却のウッカリデス 】 その人なのである。

 【ZAP】 「忘却のウッカリデス」
 ザッピングします。

 [07:05] 結城奈緒 ⇒ [07:15] 忘却のウッカリデス


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084:たった一人守れないで 生きてゆく甲斐がない 投下順 085:大都会交響楽(中編)
:[[]] 時系列順
083:私が『私』であるために 地球破壊爆弾No.V-7
泉こなた
069:ネクストらき☆ロワヒント「窓からの視線」 6/氏
結城奈緒
053:毒をもって毒を制す 忘却のウッカリデス
遊城十代
080:性欲の!熱いホモ! 阿部高和
ラッド・ルッソ
079:バトルロワイヤルは鬼ばかり 桂言葉
真・長門有希



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